挑戦する人にこそセルフ・コンパッション〜セルフ・コンパッションに関するさまざまな誤解

この記事では、セルフ・コンパッションについて書きます。

高橋左

こんな方に書いています。
1 新しいことに挑戦したい
2 挑戦を通じて、成長し、自信を高めたい
3 1、2を無理なく実現したい

あたなは今、どんな挑戦をしてますか?

その挑戦はあなたを成長させそうですか?


私自身、今、英語の読書会に参加する、
という挑戦をしているところです。


なぜなら、英語を通じて得られる情報量はとても多く、また、
英語は、慣れさえすれば、文章がシンプルで理解しやすいとも感じているからです。


ただ、これはあちこちで書いていますが

私はあまり体力がないので、いわゆる
「血のにじむような努力」というのは
できません。

だから

3 無理なく実現したい

も大事なのです。

きっかけは、この分野の研究の第一人者、ネフ博士の「あり方」の素敵さ

セルフ・コンパッションについては
以前から研究し、
セミナーなどもしていましたが、


今回、あらためて
取り上げようと思ったきっかけは


セルフ・コンパッション研究の第一人者、
クリスティン・ネフ博士の
講演を聴くチャンスがあり、
その内容はもちろん
彼女の「あり方」が素敵で
とても感動したからです。


同時に
新しいチャレンジをしている人にこそ、
セルフ・コンパッションは必要だと
深く納得したからです。

セルフ・コンパッションはモチベーションの一種

ネフ博士は、
セルフ・コンパッションを
さまざまに説明しています。

私の理解で言うと、こんな感じです。

セルフ・コンパッションとは:

「しんどい状況や、
 自分の不完全さに向き合うとき
 自分自身に向ける態度のこと。

 自分への気づきや、
 自分へのポジティブな感情、
 周囲の人への共感などを含む」

そして、

「セルフ・コンパッションは、モチベーションの一種だ」

とも話していました。

高橋左

一言でいえば、
「自分へのケア」や
「自分への思いやり」
につながる行動です。

どうでしょうか?
新しいチャレンジをしている方、
セルフ・コンパッションについて知ることは、
役に立ちそうでしょうか?

セルフ・コンパッションに関する誤解

誤解1:セルフ・コンパッションは、あなたを「弱く」する?

セルフ・コンパッションには、
いろいろな誤解がついて回るようです。

そのうちの一つが

「セルフ・コンパッションは
 あなたを「弱く」するのでは?」

です。

しかし、科学的な研究により、
このイメージがかならずしも
事実ではないとわかってきました。

それどころか、
セルフ・コンパッションがあると
困難な状況、

たとえば、
「ガン治療」や「離婚」などの
とても大変なプロセスを

へこたれず
強い心、しなやなか心で
乗り切れることが
わかってきました。

詳細に興味のある方はこちらをどうぞ!

*科学研究の例

がん治療の例
Lei Zhu; et al. The predictive role of self-compassion in cancer patients’ symptoms of depression, anxiety, and fatigue: A longitudinal study. Psychooncology
. 2019 Sep;28(9):1918-1925.

これは、中国の病院で
153名のガン患者を対象にした研究です。

セルフ・コンパッション度の高い人は、ウツや落ち込み、不安や疲労困憊に陥らずに治療を続けることができた、というもの。

離婚プロセスの例
David A Sbarra; et al. When leaving your ex, love yourself: observational ratings of self-compassion predict the course of emotional recovery following marital separation.Psychol Sci. 2012 Mar;23(3):261-9.

こちらは、アメリカで離婚のプロセスを経験した105組に対する研究です。

研究は「別れの心理的ダメージから立ち直るコツは、あなた自身を愛すること」と言っています。

これらの研究からも

セルフ・コンパッションは
あなたの心を「強く」する

と、わかります。

誤解2:セルフ・コンパッションは「自分勝手」か?

これもよくある誤解です。

ここでいう「自分勝手」とは
「他人をないがしろにする態度」の意味です。

つまり、
「自分へのケア」や
「自分への思いやり」を増やすと
他人をないがしろにするような
自分勝手な人間になってしまうのでは?
という思い込みです。

・・・・

とても大事な前提を話します。

統計的には女性の方が
他者への思いやり度が高い、そうです。

それは、女性に期待される
文化的役割も影響すると言われています。

もし、あなたが女性なら
「他者(家族を含む)に尽くすべきだ」と
言われて育ってきたかもしれません。

もし、あなたが男性なら
「年上の人に尽くすべきだ」
「上司に尽くすべきだ」
「組織に尽くすべきだ」と
言われてきたかもしれません。

「他者に尽くすべきだ」
という価値観で育って来た人は

「自分のケア」をすることに
いけないことをするような
「罪悪感」を感じるかもしれません。

しかし。

研究からは、

「セルフ・コンパッションを実践は
 かえって他者への思いやりを増やす」

ことがわかっています。

しかも、
せルフ・コンパッションを実践した方が

他者へ尽くしすぎて、
「燃え尽き」てしまうのを防ぐ

こともわかっています。

つまり

「自分のケア」をすることに
「罪悪感」を感じる必要はない!

ということなのです。

言い換えれば、

「自分のケア」をするからこそ
他者のために働き続けられるのです。

いかがでしょうか。

*参考文献
Dr. Kristin Neff, Fierce Self-Compassion: How Women Can Harness Kindness to Speak Up, Claim Their Power, and Thrive, June 15, 2021

↑この本、著者の熱意が伝わってきて感動します。2022年頃、日本語訳が出るそうです!

誤解3:セルフ・コンパッションでは高い目標を達成できない?

セルフ・コンパッションと高い目標の関係は、
ネフ博士によると
世界中の人が関心を寄せているようです。

例えば入試とか、資格試験など
何かに挑戦するとき

「こんなことではダメだ!」
「まだまだ足りない!」

と自分にハッパをかけながら
頑張るスタイルがありますよね。

仮に
「自己批判スタイル」
としましょう。

この「自己批判スタイル」は
ある程度まではうまくいくと
わかっています。


しかし、このスタイルよりも
さらに高い目標を達成するのが

「セルフ・コンパッション」とともに
努力する人であることが

研究で分かっています。

「自己批判スタイル」は
短期的な目標達成のためには
いいけれど、

もしあなたが長期的に
目標達成し続けたいのならば
「セルフ・コンパッション」が
オススメなのです。



自己批判スタイルとセルフ・コンパッションとの違いとは?

自己批判スタイルと
セルフコンパッションとの
考え方には
大きな違い2つ、があります。

1つ目は、モチベーションが違う
2つ目は、失敗の捉え方が違う

です。

1つずつ説明しますね。

モチベーションの違い〜「不足」か「大切なこと」か〜

自己批判スタイルの人は

「自分がまだまだ未熟だから、
 不足しているから」がんばる

がモチベーションになっているのに対し


セルフ・コンパッションでは

「自分にとってそれに取り組むことが
 本当に大切だから」がんばる

がモチベーションになっている

…と言う違いがあります。

失敗のとらえ方が違う

自己批判スタイルの人は
失敗を恐れ
自分へのダメ出しが強くなる。
結果として不安感が強まる
・・・のに対し、

セルフ・コンパッションでは
自分の失敗にオーケーが出せる
失敗とは学びの元であると言う考えが持てる
結果として不安感が弱まって
さらに挑戦し続けられる
という違いがあります。

セルフ・コンパッションは身につけられるのか?

ここまで読むと、
セルフ・コンパッションはとても良いもので
ぜひとも身につけたくなるかもしれません。

とはいえ、ついつい
自己批判スタイルになってしまう方は多いと思います。
「自分にダメ出し」ですね。

でも、喜んでください!

ネフ博士は

「セルフ・コンパッションは
 練習で身につけることができる!」

と言っています。

その方法を知りたい方に朗報です!
2021年7月、読みやすい新訳版の本がでました。オススメです。

ネフ博士の本当に素敵なところとは

この記事の最初に、
「彼女の『あり方』が素敵でとても感動した」と書きました。

どこが素敵なのかも、共有しますね。

高橋左

彼女の素敵なところは
1  彼女自身が高い目標を目指して挑戦しつづけている
2  彼女自身が自己批判スタイルに苦しんできた
3  今もセルフ・コッパンションを実践中
4  自分に対しても、他者に対してもオープンで誠実
・・・と思っています。


まとめ

何かに挑戦している人にこそ、セルフ・コンパッションをお勧めします。

なぜなら、セルフ・コンパッションは

1 あなたを粘り強くし、
2 相手も自分も思いやれる人になり
3 長期的に高い目標を達成し続けるには、欠かせない態度

であることが、分かっているからです。

セルフ・コンパッションは、自己批判をおさえて、その悪影響をやわらげ、持てるものを発揮し、充実した日々を可能にします。

また、セルフ・コンパッションは、高い目標に向けて挑戦している人だけでなく、対人支援職の人、子育て中の人、よりよいパートナーシップを育みたい人にも有効な態度だと、ネフ博士は話していました。

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