![6.自分らしく生きるには、まず自分を知ることから〜自分の「無意識のバイアス」が何でできているのか探求しよう](https://i0.wp.com/takahashimisa.jp/wp-content/uploads/2021/09/bias-1.png?fit=640%2C369&ssl=1)
今回のテーマは「無意識のバイアス」です。
まず、私の体験談からはじめますね。
長男が小学1年生だったころ、バービー人形が欲しいと言われて、慌てたことがあります。
当時、アメリカに住んでいて、毎日行くスーパーにバービー人形が売っていたのです。
「バービーじゃなくて、ケンではダメ?」
と聞きましたが、ケンでは駄目だったのです。
長男に「バービー人形が欲しい」と言われて、なぜ、私はあわてたのか
今日のテーマは、
なぜ、私が長男に「バービー人形が欲しい」と言われて、慌てたのか、ということに関係があります。
ここで、一冊の本をご紹介します。
「ゆさぶる:無意識のバイアスができるしくみを解きあかす」
というタイトルです。
(原題:SWAY, Unravelling unconscious bias)
![高橋右](https://i0.wp.com/takahashimisa.jp/wp-content/uploads/2021/07/IMG_4431.jpg?resize=300%2C280&ssl=1)
バイアスは「傾き」「斜め」という意味です。「無意識のバイアス」というと、無意識に持つ、ものの捉え方の「かたより」や「傾向性」という意味になります。
無意識のバイアスが強くなると、偏見につながったり、間違った判断につながったりして、周囲に強い影響を与えます
私たちは、誰でも、
「自分は平等主義者で、
バイアスなど持っていない」
と思いたがっているし、
私もそう思いたいです。
けれども、実際には、
「どんな人の中にも
無意識のバイアスがあるのだ」
と言われたら、どんな気持ちになりますか?
きっといい気持ちじゃないですよね。
私も、正直、楽しくはないです。
けれども、実際は、
私たちの外側にはバイアスがあり、
そして、内側にもバイアスがあります。
![](https://i0.wp.com/takahashimisa.jp/wp-content/uploads/2021/09/bias.png?resize=640%2C369&ssl=1)
そして、この外側と内側のバイアスを
知っているのと、知らないのとでは、
あなた自身の人生が変わってきます。
この本は、そんなことを探求する、
興味深い本なのです。
もし、あなたが
・より良い人生を歩みたい
・大切な人により良い人生を送ってほしい
・よりよいコーチになりたい
というのであれば
(読者さんにはコーチもいらっしゃいます)
この本は「必読」です。
なぜなら、
よりよい人生のためには、
よりよい「意思決定」をしたいですよね。
人生は「意思決定の連続」だからです。
そして、よりよい「意思決定」のためには
自分の「無意識のバイアス」・・・
言い換えると
「無意識の思考傾向」を
知る必要があるからです。
また、あなたがコーチなら、
クライアントのためにも
「オープンで柔軟性のある思考・態度を開発し続ける」必要があるからです。
(コーチの皆様、国際コーチング連盟(世界最大のコーチング団体)のコア・コンピテンシーをご確認ください)
そのためには、自分や相手が持つ無意識に
自覚的になる必要があるのです。
この本『ゆさぶる:無意識のバイアスを解きほぐす』をインテグラル理論でマッピングすると
インテグラル理論的に、この本の位置付けを考えてみます。
まず、四象限の視点。
自分の内側を扱うので、左上象限。
同時に、文化を扱うので、左下象限。
本の著者は、元データ・サイエンティストなので、論文や根拠もいっぱい、だから右上象限。
では、どうすればいいのか、という「しくみ」については、ページ数の関係で「扱えなかった」と書いているので、右下象限はあまりありません。
(そのかわり、著者は、このテーマでTEDを開催するなど、活発に右下象限活動をしています)
私が、インテグラル理論の
四象限を意識する理由は
四象限の視点から見ると、
全体をバランスよく見渡せるからです。
全体を見渡せるようになると、
たとえば、うまくいかないときに
ちょっと視点をずらしたり、
別の視点をみつけたり
しやすくなります。
インテグラル理論の四象限、
新しい視点を見つけるのに
便利ですよ。
意識の段階としては、オレンジからグリーンの要素が中心になると思います。
科学的なデータを根拠にしているので、
合理主義的オレンジ段階。
同時に、平等という観点から
多様なあり方を認めようとしているので
グリーン段階の要素があるとみています。
(インテグラル理論の『意識の段階』についてはあらためて書きますが、このあたりを詳しく知りたい方は『入門インテグラル理論』などをどうぞ!)
この本を紹介する私の裏事情
この本をご紹介する、裏事情としては、
まず私自身が、とても興味を感じて
海外で開催されるコーチの読書会に
つい、申し込んでしまった、
といういきさつがあります。
とはいえ本は英語で、
内容もちょっとハードなので、
(英語ネイティブにも投げ出す人あり)
面白そうな所だけ、かいつまんで紹介します。
(そのうち、誰か翻訳してくれないかな。
英文そのものは、難しくないのですよ〜)
つまり、予習です。
よろしかったら、私の予習にお付き合いくださいませ。
著者は、インド系科学者・著述家・母親
私がこの本にひかれた理由は、著者のプロフィールにもあります。
著者の名前は、
プラギャ・アガワル(Pragya Agarwal)
・・・うう、耳慣れない、名前です。
インド出身です。
![高橋右](https://i0.wp.com/takahashimisa.jp/wp-content/uploads/2021/07/IMG_4431.jpg?resize=300%2C280&ssl=1)
プラギャという言葉には、ヒンディー語で「知恵」という意味があります。
だから、プラギャさんとは、インドでは「知恵子さん」の感じなんでしょうね。
少し、名前が身近になりました。
彼女は行動科学者であり、データ・サイエンティストでした。
のちに、著述家なっています。2人の女の子の母親です。
彼女はインドに生まれ
家父長制の強い
(つまり、お父さんがとても威張っている)
文化の中で、大いに「反抗的に」育ちました。
イギリスに渡り、工学博士を取得。
イギリスに住んで20年。
周囲に溶け込もうと必死に努力をしました。
英語のなまりを無くし、
イギリス人のジョークも、
理解できるようになりました。
![高橋右](https://i0.wp.com/takahashimisa.jp/wp-content/uploads/2021/07/IMG_4431.jpg?resize=300%2C280&ssl=1)
外国に住んで困るのは、ジョークがわからないことなんです。
だから、「インドの知恵子さん」は相当、努力されたんだとおもいます。
ある日、周囲から、
「全然インド人に見えないね」と言われ
彼女は、あれっ、と思いました。
「私は喜んでいいのか? もしかすると、
侮辱されているのではないだろうか?」
これが、彼女が「無意識のバイアス」について
研究を始め、この本を書くきっかけになったそうです。
脳科学で説明する、無意識のバイアスができる理由
少し前に、
私たちは、誰でも、
「自分は平等主義者で、
バイアスなど持っていない」
と思いたがっている。
けれども、実際には、
「どんな人の中にも無意識のバイアスがある」のです。
と書きました。
無意識のバイアスは、人間が生き残るために必要だった
しかし、無意識のバイアスは、人間が生き残るために必要な選択の結果、でもあるのです。
研究結果によると、私たちの脳の情報処理速度は、毎秒11,000,000ビットです。
このうち、意識的にあつかえるのは、たったの40~50 ビットだといわれています。
つまり、脳の中のほとんどの情報処理は、無意識におこなわれる、ということなんですね。
![](https://i0.wp.com/takahashimisa.jp/wp-content/uploads/2021/09/brain-science-1.png?resize=640%2C369&ssl=1)
無意識の情報処理を「直感」という
一方、私たちには「直感」がありますね。「なんとなく、こう思う」という、感覚です。
どんなにするどい直感も、著者は「直感は、魔法ではないし、天から降りてくるものでもない」といいます。「これまでの経験の積み重ね」だというのです。
直感は生きていくのに欠かせないもの
合理的判断だけでは、私たちは生きられません。時間がないときなど特にそうです。
過去にこんな実験があったそうです。病気のため「合理的にしか考えられなくなった人」に「2種類のシリアルから、どちらかを選ぶ課題」をやってもらったところ、結論を出すのに数時間かかった、というものです。
たから、直感的に判断することは、とても大事なのです。
しかし、直感に間違いはつきもの
直感は、生きていくのに欠かせないものですが、同時に、直感に、間違いはつきものです。
たとえば、私たちは、素早く判断するために、目の前にある情報のごく一部だけを取り上げ、あとは捨てる、ということをするからです。
有名な例として、「透明ゴリラ」の実験があります。
このビデオでは、課題が出されます。「白い服を着た人たちが、パスを何回すのか数えてください」この課題に正解する人は多いのですが、一方である事実を見落とす人が多い、というものです。
さらに、プラギャさん自身が行った、こんなプチ実験もあります。
動画「BBCインタビューに子供乱入(2017)」についての実験です。
プチ実験では、乱入した子供たちを、部屋から連れ出した女性を、どういう人だと思ったか、という質問をしました。すると回答者の7割が「ベビーシッター」と答えました。正解は「妻」だったのです。
大事なことを決めるときは「直感」と「合理性」の両方が必要
私たちに欠かせない「直感」には、どうしても無意識のバイアスが混ざります。バイアス自体には、良いも悪いもなく「ただ、そういうもの」です。しかし放置された無意識のバイアスのうち、有害なものが強くなると、偏見や間違った判断につながります。
なので、大事なことは決めるときは「直感」も使うけれど、そこに「無意識のバイアスがないか」と合理的にチェックすることをおすすめします。
自分の無意識のバイアスを言語化してみた
「無意識のバイアス」がないか、チェックしてみて、と書くからには、「自分はどうなんだ?」と、まず自分に引き寄せて考えないとね、と私は考えました。
しかも、誰もが「無意識のバイアス」を持っているということですから、私も安心して、自分の場合を考えてみることにしたのです。
相手の中に無意識のバイアスを感じた体験
私の2年間のアメリカ生活は、楽しくもあったけれど、うっすらと偏見を感じる日々でもありました。
たとえば、子供の保育園を探すとき、電話帳で調べて手当たり次第に電話をかけたのですが、
私の英語は、もちろんへたで日本人特有のなまりもあるので、電話口の向こうの人は、はっきりと表現しないにせよ、心のどこかで「何この人、、、」と思っているのが伝わってきたものです。
人は、バイアスがある目で見られるとそれを敏感に感じとるものだ、と実感した体験でした。
(ちなみに、保育園選びは、電話対応が一番丁寧だった保育園に決めました。この選択は正解でした)
そしてバービー事件。自分の中に無意識のバイアスを感じた体験。
これは、なかなか言語化するのが難しかったです。
なぜなら、誰もが「自分は平等主義者で、心はオープンだし、バイアスなんてない」と思いたいものだ、とプラギャさんは書いているし、実際、私もその通りだからです。
ですが、2〜3日たって、やっとひとつ思い出しました。
![](https://i0.wp.com/takahashimisa.jp/wp-content/uploads/2021/09/sway.png?resize=640%2C369&ssl=1)
長男が小学1年生だったころ、バービー人形が欲しいと言われて、慌てたことがあります。
当時、アメリカに住んでいて、毎日行くスーパーにバービー人形が売っていたのです。
「バービーじゃなくて、ケンではダメ?」
と聞きましたが、ケンでは駄目だったのです。
結局、バービー人形を買いました。
「男の子にバービー人形はダメ」というのはバイアスだな、考え直したからです。
「うちの息子は将来、高田ケンゾーになるのかも…」なんて、ある意味、親バカなことを思いながら、です。
ところで、これには後日談があります。
日本に帰ってきしばらくたったころ。
長男の友達が、何人か家に遊びに来ました。
そのうちの1人がおもちゃ箱から、アメリカで私が長男に買ったバービー人形を発見したのです。
その友達がいいました。
「なんで、こんな人形があるの?」
そのとき、長男はこう言ったのです
「あ、それ、お母さんの人形だし」
もう、お分かりだと思いますが、
長男自身の中に「男子は、バービー人形で遊ぶものではない」というバイアスが生まれていて
とっさに友達にウソをついたのです。
・・・このようにして、男は男に生まれるのではなく、男になるのだ、と思った瞬間でした。
あなたの場合はいかがですか?
ここまでのまとめ
よりよい人生を送りたい人、あなたの大切な人によりよい人生を送ってほしい人に、この本『ゆさぶる:無意識のバイアスを解きほぐす』は役にたちます。 誰もが無意識のバイアスを持っています。
脳科学では、無意識のバイアスは、人間が生き残るときに、かならず生まれるものといいます。 「直感」は、無意識な情報処理の結果ですが、無意識な情報処理は同時に無意識のバイアスを作るからです。 直感は生きていくのに欠かせないものですが、同時に、直感に、偏見や間違いはつきものなのです。
だから大事なことを決めるときは「直感」と「合理性」の両方を意識することが必要です。
そのためにも、無意識のバイアスに、注意を向けることをおススメします。
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