37.  気になるコーチングのスーパービジョンを基本から説明!他の業界のスーパービジョンとの違いもお話しします

スーパービジョンを学び始めました

スーパービジョンを学び始めました。
1年間のコースです。

このブログの読者さんには
学ぶのが好きな人が多いです。

今も何かを学んでいる最中の方も
あるでしょうね。

コーチングをやっていて良いことは
堂々と「学ぶのが好き」と言えること!

コーチング関係に限っても
私もいろいろ学んできました。

・コーチングそのもの
・コーチ育成のトレーニング方法
・コーチングのスキルを伸ばしてもらうための
 メンター・コーチングの方法
・コーチングが一定の水準に達しているか、
 評価するアセスメント方法

それに加えて、今度は
コーチングのスーパービジョンです。

「コーチングのスーパービジョンって気になる!」

カウンセラーや、
福祉業界のケアマネジャーに対しては、
スーパービジョンがある、
と、以前から聞いていました。

コーチングのスーパービジョンは、
自分が行っているコーチングを
コーチが内省するのを
サポートします。

そんなことをメルマガでお知らせしたら、
さっそく、こんなお声をいただきました。

Mさん(ケアマネ)

スーパービジョンって何ですか?
しかもコーチングのスーパービジョンって、とても気になります!

というお声をいただきました。

お声がけくださったのは
ケアマネジャーで、ICF(国際コーチ連盟)のコーチでもある
Mさんです。

そこで、Mさんの許可を得て、
Mさんに説明したことを
このブログで紹介しますね。

「介護業界のスーパービジョンは知っていますが…」

Mさん(ケアマネ)

私は、介護業界におけるスーパービジョンを知っています。

事例検討をとおして
自己覚知(自己認識)するためのツールとして使うものです。

私は立場上、日常的に、ケアマネ(ケアマネジャー)さんたちに
「スーパービジョン的な関わりをしましょう」
と言われます。

私はコーチなので、
コーチング的関わりはしています。

でも「さらに、スーパービジョンを!」と言われても
果たしてできているのどうかわかりません。

Mさん(ケアマネ)

例えば、真辺さんの
『気付きの事例検討会』というスーパービジョンがあるんですが、
あれは、ほとんどコーチングなんです。

こんなルールがあるんです。

否定しない
時期尚早な提案をしない
答えは相手の中にある・・・

とかで、

いったいスーパービジョンと
コーチングの違いは
何なんだろうって。

高橋右

真辺さんは、コーチとしても活動されていて、
私も大変お世話になりました!

高橋右

じゃあ、まず、コーチングとスーパービジョンの違いについてお話ししますね。

スーパービジョンの意味は、時代によって変わる。これが、ややこしさの原因

高橋右

実は、スーパービジョンの意味は、
時代によって変わるんです。

これが、話をややこしくしています。

そこで、遠回りに見えるけど
スーパービジョンの歴史からお話ししますね 

スーパービジョンの歴史は古いです。

1900 年頃の
精神分析の誕生とともに
スーパービジョンは生まれたとされています。
(諸説あります)

その頃のスーパービジョンは、
「師匠が弟子の仕事を『分析する』」という
意味合いがとても強かったようです。

その後、欧米を中心に
スーパービジョンの研究が
積み重ねられ、
スーパービジョンの意味合いも
ずいぶん変わってきました。

また、業種によっても
スーパービジョンの意味が変わることもあります。

ケアマネジャー、ソーシャルワーカー、心理カウンセラー、精神科医・・・
これら、業種によって、スーパービジョンのあり方が異なることが
文献からも見えてきます。

コーチングのスーパービジョンとは?なぜ必要なの?

Mさん(ケアマネ)

だとすると、コーチングのスーパービジョンって何なんですか?

コーチング領域のスーパービジョンの歴史は新しく、
一番古い、コーチング・スーパービジョンのプログラムは
20年ほど前にイギリスでスタートしました。

コーチングのスーパービジョンは、
ICFによってこのように定義されています。

コーチング・スーパービジョンは、コーチとクライアント双方のために、内省的な対話を通してコーチの能力を継続的に高めていくための共同学習実践です

ICFのWEBサイトより
Mさん(ケアマネ)

えっ、コーチの能力を高めるのだったら、
「メンターコーチング」とどう違うの?

高橋右

そうよね〜、当然そこが気になるわよね。
私も最初は、ここでとても混乱しました。

じゃあ、
コーチの能力を高める2つの方法、
スーパービジョンとメンターコーチングの違いについて
説明するね。

コーチの能力を高める2つの方法、スーパービジョンとメンターコーチングの違いとは?

まず、ICF(国際コーチング連盟)のメンターコーチングの定義をはこちらです。

メンタリング(メンターコーチング)は、希望する資格レベルで要求されるレベルのコーチングのコンピテンシーと能力を獲得し、示すための専門的な支援を提供する。

ICFのWEBサイトより

メンターコーチングでは、
コーチング・スキルの獲得と発揮をテーマにします。

ですが、同時に、
メンターコーチングでは

「コーチは、どういう『心もち』でコーチングしたらよいのか」を

話題にすることがあります。

このコーチの『心もち』、
いいかえると「マインドセット」とか
「ものの見方、捉え方、感じ方」

この部分を扱うのが、スーパービジョンなんです。

高橋右

スキルはいったん横に置いて
コーチの『心もち』を扱うのが、
コーチングのスーパービジョンね。

現代のコーチングでは、
結果を出すコーチングから、
内省にフォーカスしたコーチング

シフトすることが大事だ、
と言われはじめています。

Mさん(ケアマネ)

わかります、わかります!

このことは、マーシャ・レイノルズさんの
「変革的コーチング」でも
強調されています。

*「変革的コーチング」のアマゾンリンクはこちら

なので、多くのメンターコーチが、
スキルにフォーカスするだけでなく、
コーチ自身の内面についても扱い始めています。

高橋右

この、コーチ自身の内面のことを
『心もち』『ありよう』『自己基盤』『マインドセット』『ビーイング』
なんて言ったりします。


Mさん(ケアマネ)

福祉では、『自己覚知』っていうんですよ

この、コーチのスキルではなく、
コーチ自身の「内省力」を高める関わりを
コーチングのスーパービジョン

呼ぶのです。

「結果や行動変容をうながすコーチングに違和感を感じていたんです」

高橋右

ここで、内面にフォーカスした、内省的コーチングと
コーチングのスーパービジョンの違いも整理しておきますね。

マーシャ・レイノルズが、
『変革的コーチング』の本の中で強調しているのは

問題に焦点を当てるのではなく、
相手の内面に働きかけ、気づきと変革をもたらすコーチングが大事、

ということです。

ICF(国際コーチング連盟)のPCCレベル以上のコーチングでは、
このような『内省的探究』が求められます。

ここで、内省的探究を扱うコーチングでは
コーチングのテーマは、
「なんでもよい」
のです。


しかし、「内省的探究」をあつかう
コーチングのスーパービジョンのテーマは
コーチ自身が行ったのクライアントのセッションについての
内省的振り返り
だ、
ということです。

Mさん(ケアマネ)

なんだか喉元の「小骨がとれた」感じがします。

今までは、結果を出すとか、行動変容を起こすとかいうところで
すごく勉強してきたんですが、

ちょっと違和感を感じるようになったんですよ。

実は、もうちょっと前の段階というか、
この人の何がそうさせているのかとか、

少し内側へ、奥へと 深掘りしていく質問があった方がいいのに
でも、どうしたらいいのか思いつかなかったりすんです。

そこで「内省」と言われると、
自分の中でドキっとするものがあるのに、
なんだか、置いてきてしまったなぁ、と
思ったんです。

高橋右

すごく大事なことをおっしゃっているとおもいます!
それこそスーパービジョンのテーマです

Mさん(ケアマネ)

うーん、なるほど。
素朴に思いましたけど、
これ、かなり訓練が必要ですよね

高橋右

そうなんですよ。
スーパーヴィジョン養成プログラムは
1年かかるし、宿題も費用も大変なプログラムなので、

私もまずは、
「そもそもスーパービジョンって何?」と
受けてみることにしました

Mさん(ケアマネ)

へぇ、すごい興味深いです!

スーパービジョンを学ぶ前に、高橋自身がスーパービジョンを受けてみた

Mさん(ケアマネ)

どういう変化があったんですか?
どういう気づきがあったのかすごい知りたいです

体験1:スーパービジョンでは行動宣言しない

高橋が体験したのは、5回のグループ・スーパービジョンです。
6名ぐらいのグループに対して
1人のスーパーバイザーがいます。

毎回、誰かが自分のケースを提供します。

そのケースに対するスーパービジョンを
スーパーバイザーの進行のもとで、
グループメンバーで行いました。

最初に面白いな、と思ったのは、
スーパービジョンでは、最後に行動宣言をしないことです。

Mさん(ケアマネ)

行動宣言しないんじゃ、
コーチングと全然違うじゃないですか

それについては、
高橋も不思議な気がして、
CSAの講師に質問してみました。
すると、こんな答えが返ってきました。

CSA講師CSA講師

だって、スーパービジョンを受ける人は、
全員コーチでしょう?

コーチだということは、
セルフコーチングできるってこと

だったら、行動宣言も
勝手にできちゃうでしょう?

Mさん(ケアマネ)

本人に委ねるってことですね。
それもすごく大事だって、今思いました。

体験2:コーチとクライアントの間で何が起こっているのかが俯瞰的(ふかんてき)に見える

Mさん(ケアマネ)

それで、高橋さんのなかでの変化はあったんですか?

それから、自分がケースを提供してみて感じたのは
「自分とクライアントの間」で「何が起こっているのか」が
俯瞰的に見える、という体験をしました。

これは、たくさんある
スーパービジョンの課題図書の中にあった
「精神力動学的」視点
です。

これは、今までは
よく知らなかった視点でした。

理論的にはよくわからないながら、
スーパービジョンのセッションの中で、
この「精神力動学的」視点を
体感覚として理解する、
という体験をしました。

理論は、あとになって、
体験に「言葉」を与えてくれる、
という感じです。

体験3:スーパーバイザーは「分析しない」で「環境設定」をする

この記事の前のほうで
古典的なスーパービジョンでは、
スーパービジョンをする人とされる人の間には
「師匠と弟子の関係」があって
「師匠が弟子の仕事を分析」していた、
と説明しました。

高橋右

でも、分析は、取り扱い注意なんです。
人によっては、「分析される」ことをとことん嫌います

高橋右

精神力動学をあつかう
精神科医の人とお話ししたことがあるのですが、
その人も
「分析には限界がある」って言っていました


つまり、スーパービジョンを受ける人にとって、
スーパービジョンが
「ただの苦痛な対話」にならないように

最初、
スーパーバイザーとスーパーバイジー(スーパービジョンを受ける人)の間で
さまざまなことを事前に話し合い
安心して対話できる「環境設定」をします。

そして、
スーパーバイザーと、スーパーバイジーとの関係性は
対等です。
師匠と弟子、ではありません。

Mさん(ケアマネ)

なんか、スーパービジョンをすごく受けてみたくなりました。
すごく楽しそうに、高橋さん、話すんだもん・・・。

キツくなかったですか?

高橋右

アハハ、楽しいですよ〜
でも、キツいですよ〜

だからこそ、スーパーバイザーになるには
しっかりと体系だった学びが必要なんだと思います

コーチングのスーパービジョンのプログラムの構成は、古典と現代的モデルの融合

今回私が学んでいる
コーチングのスーパービジョンプログラムの特徴は
一言でいうと、

ばっちり体系化されている!

ということです。

国際コーチング連盟の日本支部の中の
ICFの倫理規定とコアコンピテンシーを研究するメンバーで
検討した結果、

世界で「源流」とされる
コーチング・スーパービジョンプログラムの
日本導入を決めました。

日本導入を決めたもう一つの大きな理由は
組織全体のレベルアップのために、
チームコーチングの需要が増えているからです。

チームコーチングでは、
スーパービジョンは不可欠とされています。

なぜなら、チーム全体の
複雑な人間関係を俯瞰的に見る力を養うことができて
組織全体のパフォーマンス向上に寄与するからです。

今回導入したのは、こちらのプログラムです。
CSA:Coaching Supervision Academy

あなたの『あり方』が、あなたのスーパービジョンになる

2005年に設立されたCSAは、コーチング・スーパービジョンに特化したリーダーシップ・トレーニングを提供する最初の組織として認定されました。それ以来、世界中のエグゼクティブ・コーチやビジネス・コーチがCSAを教育パートナーとして利用しています。当校の受講生は、豊かで多様な背景、文化、経験を持つ人々で構成されており、当校の認定を受けた卒業生スーパーバイザーは、世界中のさまざまな場面で活躍しています。

CSAでは、古典的なスーパービジョンのモデルと現代的なスーパービジョンのモデルを徹底的に学びます。また現代のコーチングや現代のリーダーシップ理論の発展に対応し、随時カリキュラムを更新しています。

CSAのWEBサイトより
CSAのスーパービジョンプログラムの特徴は2つのモデルの融合

・古典的モデル:精神力動学的な分析手法
・現代的モデル:U理論、マインドフルネス、身体的アプローチなど。

高橋右

私の理解では、
古典的な精神力動学的に分析されることから、
U理論で、自分で自分を分析できる(内省できる)ようにし、

さらに、分析のキツさを
マインドフルネスとか、身体的アプローチで和らげている、

という感じですかね。

Mさん(ケアマネ)

足元にあった、スーパービジョンが
あっという間にワールドワイドになりました。

高橋右

普通は、スーパービジョンは、足元にはないですよ。

「居心地悪い」スーパービジョンを、「居心地良く」できるのなら

Mさん(ケアマネ)

福祉職なので、ケアマネなので、
スーパービジョンは、わりと足元にあるんですよ。

それで、スーパービジョンを受けるのって、
分析されそうで、
なんとなく居心地悪くって・・・

Mさん(ケアマネ)

真辺さんの『気づきの事例検討会』じゃなくて、
もっと一般的な、スーパービジョンの動画を見たことがあるんです。

見ていて、本当に居心地が悪いんです。
動画では、分析されるだけじゃなくて、
「私には根拠があって、こう言っている」的な
アプローチをされている・・・

高橋右

ああ、それは、古典的スタイルのスーパービジョンですね

Mさん(ケアマネ)

コーチングのスーパービジョンで、
「居心地の良さ」が加わるんだったら、

私はその
「分析されるのはツライ」から
脱却できるんじゃないか、と
すごく思いました。

高橋右

CSAスタイルのスーパービジョンでは
分析されるんじゃなくて、
分析するとしても、自分でやる

そこに、マインドルネスとか
身体的アプローチが入る。

だから痛みは少ない、というか
イタ気持ちいい、という感じです(笑)

Mさん(ケアマネ)

イタ気持ちいいって、
指圧とか、マッサージみたいな感じですか?

高橋右

あははは。
そう。そういう感じになります。

Mさん(ケアマネ)

まだまだ知らない世界がいっぱいあるんだなぁ、と思いました。

まとめ:コーチングのスーパービジョンとは何か

以下、コーチングのスーパービジョンとは何で、その重要性はどんなところにあるのか、まとめてみました。
ご参考になれば嬉しいです。

  1. コーチ自身の内省力の向上
    • コーチングスーパービジョンは、コーチが自らの内省力を高めるためのプロセスです。これにより、コーチ自身の成長を促し、クライアントに対してより効果的なサポートを提供することができます​​。
  2. クライアントとの関係性の強化
    • スーパービジョンは、コーチとクライアントの関係を深め、信頼関係を築くための重要な手段です。これにより、クライアントが安心して自分の課題に取り組むことができる環境が整います​​。
  3. 専門的なスキルの向上
    • コーチングスーパービジョンは、コーチが持つ専門的なスキルを継続的に磨くための方法であり、実践を通じて学び続けることができる機会を提供します​​。
  4. 組織全体のレベルアップ
    • 特にチームコーチングの場面では、スーパービジョンは不可欠とされており、チーム全体の人間関係を俯瞰的に見る力を養うことで、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します​​。
  5. 理論と実践の統合
    • スーパービジョンのプロセスを通じて、理論的な知識と実践的な経験が統合され、コーチがより深い洞察を得ることができます​​。


高橋左

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