31.日記 ラスキーの認知の発達論の系譜を整理してみた

ラスキーの認知の発達論の系譜を整理してみた

ラスキー博士の本の勉強会は、認知の発達の領域に入ろうとしている。今日はその下準備についていろいろ打ち合わせをした。

インテグラル理論では、人間の能力には、さまざまな領域があると言われる。

1冊目の読書会で扱ったのは社会的・感情的領域、つまりインテグラル理論でいうと自己関連(自我)の領域であった。

そしてこれから扱うのは認知の領域である。

認知の発達の領域についてラスキー博士は、心理療法家のマイケル・バサチーズの理論を発展させた。マイケル・バサチーズの理論を、組織に働く人向けに応用・発展させたのだ。

一方、1冊目の書籍、社会的・感情的領域、つまり自我の領域に関する議論では、ロバート・キーガンの理論をラスキー博士は継承している。その精緻な書きぶりは、感動的ですらあった。

そして今度は、認知の発達の領域について勉強会をしようというのである。

成人の発達段階を測定するレクティカは、カート・フィッシャーのモデルを使ってアセスメントを作っている

一方、ラスキー博士の成人発達のアセスメントでは、マイケル・バサチーズ等の理論を使ってアセスメントをしている。つまり最大の特徴は弁証法を使っていると言うことだ

認知の発達の研究は、どこから始まるかというと、ピアジェである。ピアジェは主に、子供が成人になるまでに、認知がどのように発達するかを研究した。そして成人になると弁証法が使えるようになるのだと言う。

一方、弁証法そのものには、長い長い歴史がある。そのスタートはなんとソクラテスである。ソクラテスから始まり、カント、ヘーゲルなどにがそれに続く。

今日の勉強会では、カート・フィッシャーのいう認知の発達は水平的発達で、ロバート・キーガンなどの自己関連領域の発達は、垂直的発達だと一般に言われているとのことだった。

しかし、インテグラル心理学の図表でこれを確認すると、認知も自己関連も、両方垂直的発達なのだ。なんでだろう、ということになった。

今のところ私の考えでは、認知の発達は、25歳ぐらいになると一応ゴールに到達する。一方、自己関連(自我)の発達は一生通じて少しずつ進んでいき、その到達点は、いわゆる「悟り」とか「非二元」とか言われるの状態になる。これは成人したからといって、おいそれと到達できる地点ではない。だから自我の発達は成人にとっても垂直的発達であり続ける

なので、実は認知の発達も垂直的なのだが、比較的早く最高段階に到達しやすいということで、水平方向だと言われるようになったのではないだろうか。

これから、ラスキー博士の認知の発達に関する勉強会がはじまる。大人になったからといって、認知の発達は完成するわけではない。ラスキー博士の仕事を紹介した加藤洋平氏も「弁証法の学習は大変だった」と書いている。自分の認知のパターンにどんな特徴があり、まだ見ぬ認知のパターンにどんなものがあるのかこれから知ることができる。それが楽しみだ。


高橋左

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