【弱さを力に】「クリエイティブさ」と「自分の弱さ」とのポジティブな関係とは?

「自分の弱さ」でクリエイティブになる?!

今回はクリエイティブになる方法をご紹介します。

クリエイティブの意味は、人によっていろいろです。ここでは「こんなことをやってみたらいいんじゃない」というアイデアを思いついたり、企画したり、実行したり、という意味で使います。

クリエイティブになる方法はいろいろありますよね。さまざまな本も出版されていたりします。ですが、今回ご紹介するのは、視点が少し違います。というもの私は普段から「クリエイティブさ」以外にも「自由に」「無理なく」ということを大事にしているからなんです。

だから、今回は「無理なく」を強調して「自分の弱さの受け入れから始める」方法をご紹介したいと思います。

高橋左

この記事は、次のような方にお伝えします
1)自分の創造力や、企画力、実行力をさらに向上させたい人で、自分の内側と向き合って大丈夫、という人
2)人材育成や、学生の教育、子育てに関わる人で、相手の創造力、企画力、実行力を向上させたい人

例えば、アイデアはあるのに、それを実現できない状態が、これから先もずっと続くとしたら?なんだか残念ですよね。

そうではなく、ここで紹介する方法を自分自身に適用してもらうことで、自分の内側から新たな創造力・企画力・実現力が出てきたら、楽しくないですか?

また、これからの時代は「こうしたらいいのでは?」のアイデアを実行することが、求められています。それなのに、決められたこと、与えられたこと以外、何もしようとしない部下や学生、子供にイライラすることはないでしょうか。

もし、ここで紹介する方法を自分に適用することで、相手の中から新たな創造力・企画力・実現力が出てきたら、良くないですか?

世界にインパクトを与えた『弱さの力』研究とは

ここでは、ブレネ・ブラウンさんの『弱さの力』という研究をご紹介します。

TED Talkでも有名で、ご存知の方も多いかと思います。しかし有名だからといって内容がよく理解されているとは限りません。

この研究は私に本当に大きな影響を与えました。この研究を知る前の私には「アイデア」はあっても、それを「実現する力」がありませんでした。この研究を知り実践し続けたところ、地域の人に対して、学生に対して、そしてコーチングを学ぶ人たちに対して、様々な「アイデア」をプログラムの形で「実現する力」がついてきたのです。

この『弱さの力』研究こそ、ブレネ・ブラウンさんを、「星の数ほどいる研究者のひとり」から「世界にインパクトを与える研究者」に変えたのでした。今回、改めて彼女のスピーチを聞き、私自身がまだまだ理解していなかったな、と深〜く反省しました。ということで、新たに学んだことも含めて、改めてご紹介します。

強すぎる研究者が受けたショックとは

ブレネさんの研究内容は、人間の幸福感の一つ、つまり、「どんな人が『自分には価値がある』と感じているのか」というものでした。社会科学研究のやり方にのっとって、数千人の人生のストーリーを集め、「自分には価値がある」と感じている人たちには、どんな特徴があるのかを調べたのです。

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さらっと、書きましたが、数千人、ですよ、数千人。
数千人の体験談を、忍耐強く、読み込み、分析し続けるのです。こういうところに私は、研究者という種族の「情熱」というか並々ならぬ、良い意味での「狂気」を感じます。

私も研究者だった時期があるのでわかるのですが、研究では、得られる結果をある程度予測してから始めます。ブレネさんにも、ある予測がありました。体験談を寄せた人たちには、共通のパターンがあって、それは「誰もが手に入れたい」ものであるはず、という予測でした。

ところが、分析結果は、思いもよらないものでした。

ブレネさんが数千人の体験談を調べて見つけた共通パターンは「自分の弱さを受け入れている人の方が、自分に価値を感じている」だったのです。

ブレネさんは、ショックでした。

「そんなこと、あるはずがない!」と思いました。

彼女は、たくさん努力し、他人を助けることはあっても、自分自身は他人を頼らない『強い人間』の方が「自分には価値がある」と感じるはず、と信じていたからです。実際、ブレネさんは、ものすごく努力する人でした。

また、本当は倒れそうになっていても「私は大丈夫よ!」と言うタイプの人だったのです。それが彼女が育った、アメリカ、テキサス州の価値観でもあったのです。男も女も「強いのが美徳」とされる土地です。

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西部劇のカウボーイ、というか、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラというイメージですね。

西部劇のイメージですね。カウボーイ、というか。『風と共に去りぬ』というか。

彼女の信念では「心の弱さ」が、ポジティブな意味を持つ事はあり得なかったのです。それどころか「強い私」が「社会の人たちの問題を、完璧に解決してあげる!」が、彼女の研究の強い動機でした。

それなのに、自分が研究が、ありえない結果、つまり、心の弱さを受け入れることが、人生の価値を高める上でとても大事だという結果に繋がってしまったのです。「強い彼女」が彼女の信念をひっくり返してしまったのです。彼女の心の根っこを大きく揺さぶる、大変なショックでした。

そこで、彼女は、研究を中断し、別の探求を始めたのです。

「弱さ」こそが「力」とわかった研究

ブレネさんの自己探求は1年間に及びました。そしてこの自己探求こそが、その後の彼女の家族との関係、仕事、生き方の「質」を大きく変えたと言っています。自己探求の後に、研究を再開してわかったことは次の3つだったと言います。

自分の弱さを受け入れている人の方が・・・

1、自分自身に価値を感じている
2、勇気があり、人間関係が豊かで、思いやりがある
3、創造力とつながっているらしい

1、自分の弱さを受け入れている人の方が、自分自身に価値を感じている

数千人!の体験談を集め、分析した結果、はっきりした共通点だそうです。

2、自分の弱さを受け入れている人の方が、勇気があり、人間関係が豊かで、思いやりがある

ここでいう「勇気」とは、高いところから飛び降りるような種類の勇気ではなく「自分の内側をさらけ出す」種類の勇気です。

これも数千人!の体験談を集め、分析した結果、はっきりした共通点だそうです。

3、自分の弱さを受け入れている人の方が、創造力とつながっているらしい

すみません、これは、ブレネさんの研究の直接の結果ではありません。

ですが、ブレネさんの研究は、TEDを通じて世界中に知られることになり、多くの人に影響を与えました。

その例の一つとして、彼女は「強さ」が求められる軍隊でも講演をしています。軍隊でも、創造力、つまり常に新しいアイデアを企画し、実行することが期待されますが、「強さ」にこだわってしまうと、軍にとっても良くない、ということなのだとと思います。

こんなに良いことがいろいろあるのに、人はなかなか自分の弱さを受け入れません、それどころか、真逆のことをするのです。

人は、進んで自分の感覚を麻痺させる

「弱さ」が「力」になる、と言っても、多くの人は自分の「弱さ」を受け入れることに抵抗を感じます。私もそうです。もしかすると、抵抗を感じていることにすら気づいていないかもしれません。

ブレネさんは言います。

「自分の弱さを受け入れない人は、『自分には価値がない』と無意識に思っていて、他者から受け入れられているかどうかを常に気にしてビクビクしている。さらに、自分がビクビクしていることにも無意識だ」

と言います。

なぜ無意識なのか。

ビクビクしていることをはっきり感じ、認めることは、怖く、辛く、不愉快なので、そんなことを感じるぐらいなら、自分の感覚を麻痺させることを選ぶ、からなんだそうです。

つまり、人は、進んで自分の感覚を麻痺させるのです。

高橋左

「え、私には、関係ないよ」と思う方もあるのではないでしょうか? 

実は私もずっと「関係ない」と思ってきました。なぜなら、日常生活に問題はないし、人間の「五感」、視覚、聴覚、触覚、臭覚、味覚は、どれもちゃんとあるからです。

でも、ここでいう感覚は、ちょっと違います。「嬉しい」「悲しい」「楽しい」「苦しい」という、感情に近い感覚です。いわゆる「喜怒哀楽」です。

人は「苦しい」ことに敏感です。ここでいう「苦しい」というのは、「不愉快」とか「イヤな感じ」とか、そういうものも含みます。そして人は「苦しい」ことを避けるためには、あらゆる努力をするのです。

その努力の一つが、「感覚を麻痺させる」戦略なのです。この戦略は、多くの人が使っている戦略で私も使っています。特にマインドフルネスを実践するようになってから、実感としてよくわかってきました。

あなたもやっているかも?感覚を麻痺させる2つの方法


研究では、感覚を麻痺させる方法がいろいろとわかっています。

1つ目は、お酒や甘いものなどに依存する方法。
2つ目は、自分の正しさにこだわり、相手は間違っていると非難する方法です。

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ドキッ!

だって、甘い物は大好きだし、正しさについては、相手を非難するところまで行かなくても、自分がやったことで何かを言われると、ザワッとするし。

ブレネさんの場合は、麻痺させる方法を2つとも取り入れていました。1つ目として、しょっちゅうビールとバナナマフィンを食べていたし、2つ目として、何事にも完璧を目指したのだそうです。


なぜ、お酒や甘いものが感覚を麻痺させるのでしょうか?

お酒が好きな方、甘いものが好きな方は、それを飲んだり、食べたりしているところを想像してみてください。どうでしょうか?少し「満たされる感じ」がしませんか?。この「満たされる感じ」で、「不愉快さ」や「イヤな感じ」を一瞬、消すことができるのです。


では、なぜ、完璧を目指すと感覚が麻痺するのでしょうか?

私たちは「自分が絶対に正しい」と信じたい生き物です。ミスや間違いはあってはなりません。しかし、実際の私たちは、不完全な存在で、ミスや間違いだけでなく、不得意なところ、弱いところもある存在です。

とはいえ、他者から「ミスや間違い、弱いところ」を指摘されるのは「不愉快」だし「イヤな感じ」ですよね。この「イヤな感じ」を感じなくて良いように、「自分の正しさを主張」し、「相手が間違っていると非難」するのです。そうすることで、「不愉快さ」や「イヤな感じ」を一瞬、消すことができるのです。

さらに、先回りして「完璧」にしておけば、他者から「ミスや間違い、弱いところ」を指摘されないから、「不愉快さ」や「イヤな感じ」をシャットアウトできるはず、というわけです。

感覚を麻痺させず、「イヤな感じ」「不愉快さ」と共にいる戦略のメリットとは


「イヤな感じ」「不愉快さ」を麻痺させると、その一瞬は良くても、あとあと問題が起こります。

その問題とは、「イヤな感じ」「不愉快さ」という「ちょっとした苦しい」感覚を麻痺させると、「ちょっと嬉しい」「ちょっと楽しい」「ちょっと悲しい」という、他の感覚も同時に麻痺させてしまうことです。

つまり「本当は自分がどう感じているのか」が自分自身にもわからなくなってしまうのです。

自分自身がわからないとは、どんな状態なのか、想像できるでしょうか?

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例えば、

・自分軸で行動しているのか、他人軸で行動しているのか、わからない
・病気ではないが、なんとなく体調不良
・いつも、うっすらと満たされない感覚がある
・・・他にもあるかもしれません。


確かに、自分の弱さを受け入れることは、不愉快なことです。不愉快なことなんて、できたら感じたくありません。しかし、そんな中で、あえて、自分の弱さを不愉快さを受け入れることが、彼女にとっては、研究をさらに進め、彼女自身も変化し、世界中の人々に大きな影響を与えることになりました。

世界に与えた影響の一つの例として、コーチングの世界に与えた影響があります。世界最大の国際的コーチの組織に「国際コーチング連盟」があります。この団体は、コーチングの質を高いものにするため「コア・コンピテンシー」というものを定めています。コア・コンピテンシーとは一言でいえば「できるコーチが身につけている基準」です。「コア・コンピテンシー」は、実践されているコーチングを綿密に分析して開発されたものです。1994年に開発され、2019年に更新されています。そこにこんな項目があります。

できるコーチが身につけている基準

・クライアントとの信頼を築くことができるように、コーチは自分の不完全さも見せるなどして、開放性と透明性を示している。
・クライアントが新しい学びを得られるように、コーチは、自分の観察や洞察を、それに固執することなく、共有する。
(国際コーチング連盟コア・コンピテンシーより)

高橋右

先日も、コア・コンピテンシーの研究会に参加しましたが、そこでも、『弱さの力』を認めることは、世界のトレンドになっているよね、という話が出ていました。

まとめ:『弱さの力』はクリエイティビティの味方だ!

思い切って、自分自身の中にある「弱さ」を認めてみませんか?。それが勇気と思いやり、それだけでなく世界に影響与える創造力の源泉になります。そのためには、まず自分の内側の小さな感覚に気づいていて、麻痺させないことが大事です。

さて、初めにお話ししていた、クリエイティビティとの関係です。ここでは「こんなことをやってみたらいいんじゃない」というアイデアを思いついたり、企画したり、実行したり、という意味で使っています。

新しいアイデアには、何かと不完全なところ、ツッコミどころがたくさんあるものです。

高橋左

自分で「こうだ」と思ったことも、いざ、やり始めると「あれ、おかしいな」ということ、よく起こりませんか?

そんな時にもめげずに、アイデアを進めるためには「自分の正しさに拘らない」「不完全さを受け入れる」ことがずいぶんと助けになるのじゃないかと思うのです。

ぜひ『弱さの力』を味方につけて、あなたのクリエイティビティを柔軟に、軽やかに発揮してみてください。

参考:ブレネ・ブラウンさんのTED TALK

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