写真:冬空の柑橘はエネルギッシュだ
実家の近くの空である。大阪の冬は曇り空が多いのだが、この日は澄みきった高い空だった。その中で、たわわになる柑橘。種類はわからないが、エネルギーの塊だ。
梶井基次郎の「檸檬(れもん)」という小説を思い出した。当時は、本屋に置かれた檸檬が爆弾のように見えたということだ。今はどうだろう。
「コーチは教えない」じゃあ、コーチは何をするのか?
驚くことがあった。コーチの教育について、である。
「コーチは教えない」とよく言われる。スポーツのコーチのことではなく、国際コーチング連盟のコーチングの話である。
なので、コーチが新しい「スキル」や「あり方(=ものの捉え方、姿勢など)」を身につけるときも、「教えない」アプローチが選択される。それらの例が、メンターコーチングとかスーパーヴィジョンとか呼ばれるものである。
2023年、ベテランコーチたちに、ICFコーチングの真髄または本質をお伝えする、という機会をいただいた。すべての日程が終わり、チームで振り返りを行った。
ICFコーチングの真髄を伝える、という責任ある役割だったので、もちろん私が持てるものは全部出しきっている。成果もあった。しかし、欠けている視点もあった。今回の振り返りは「不在の不在化」をくっきりと感じた時間でもあった。
「不在の不在化」とは
「不在の不在化」とは、「見落とし」に気づき、それを、新たに視野にいれるべく「言語化」すること、と仮にいっておこう。メタ認知能力の1つである。私自身は、ロイ・バスカーの批判的実在論を学ぶ中でこの言葉を知ったが、最初に言い出したのは誰だろうか。
「不在の不在化」の源流は弁証法にある。その弁証法のスタートは、ソクラテスだ。
その後、いろいろな哲学者を経て、ラスキー博士が「不在の不在化」に、どういう認知構造があるのか、その形式を体系化して、28個!提案した。それは、28個の思考形式と言われるが、すべてが「不在の不在化」に役立つものである。
「不在の不在化」はコーチの重要な役割の一つ
ICFコーチには、コーチングする内容に関する「専門知識」は必要ない。しかし、クライアントがもつ「専門知識」が「どのような構造を持っているのか」をメタ認知する必要はある。それができてはじめて「不在の不在化」つまり、いわゆる「気づき」が生まれるからだ。
今年の自分の役割を振りかえって思うのは、クライアントが、自ら「不在の不在化」ができるようになるよう、支援する方法を生み出したいということだ。それには、まず自分自身の「スキル」や「モノの見方、捉え方」の「不在の不在化」をすることが第一歩である。そのためにもまずは、ラスキー博士の著書の読み込みを続けよう。
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