39. 「わかってほしい」と願う前に、自分の内側を見つめる ―マインドフルネスと、他者理解のあいだに―

なぜ、あなたの「思い」が伝わらないのか

今日は金曜日。 他者との関わりにおいて ちょっと役に立つかもしれない お話をお届けします。

誰かを想い、 丁寧に言葉を選んで伝えたのに 「どうして分かってくれないの?」 と、もどかしくなることはありませんか?

「こんなに相手のためを思っているのに」 「これが伝われば、絶対いい方向に行くのに」 そんなふうに思ったことがある方には、 今日の話はきっとヒントになります。


心を動かされた展示との出会い

先日、東京のお台場にある 日本科学未来館を訪ねました。

その中に、心理学と脳科学の知見を 視覚的に分かりやすく展示したコーナーがあり、 私はそこで、とても深い感銘を受けました。

その展示では、 「心のしくみ」を理解するために 3つの視点から見ることが大切だ、 と紹介されていたのです。


3つの視点で“心”を見る

その3つとは、

1)自分一人の中の心理 感情、記憶、判断、脳内物質など、 私たちの内側で起きている現象。

2)自分と他者の間に起こる心理 共感、同調、模倣、承認欲求など、 人と人の間で交わされるこころの動き。

3)自分と“みんな”の間に起こる心理 言語や記憶の共有、協力やジレンマ、 多様性とストレスが生じる集団内のダイナミクス。


私たちは誰かと関わるとき、 この2番目と3番目の視点から 相手を理解しようとします。

「この人はどんな気持ちでいるんだろう」 「なぜこの人はそういう言葉を使うのだろう」 「なぜこの人はこんな態度を取るのだろう」

でも、ここでひとつ、 大事な視点が抜けがちになるのです。


本当に大切なのは、最初の視点

それは、「自分の内側で何が起きているか」 という1番目の視点です。

たとえば—

・いま自分は、何を心地よいと感じているのか ・どんな記憶が思い出されているのか ・何が“正しい”と感じていて、何が“間違い”なのか

これらが、自分の中で いつも動いている「前提」です。

私たちは、この“自分フィルター”を 通して、相手を見ているのです。

気づかないうちに、 自分の思考や感情の「色眼鏡」をかけて、 相手を理解しようとしてしまう。 これ、私たちはみんなそうしているのです。 私たちは一人一人が 個別の「色眼鏡」をかけているのです。

でも本気で相手のことを理解したいなら

この色眼鏡は邪魔になってしまいます。


マインドフルネスは、色眼鏡をそっと外す練習

だからこそ、私はよく 「本気で相手に関わりたいなら、 まずマインドフルネスの実践から」 とお伝えしています。

マインドフルネスは、 単なるリラックス法ではありません。

「自分という心理システムが、 どんな前提を持ち、何を良しとしているのか」 それに静かに気づいていくこと。

たとえば—

・ある言葉にイラっとした自分 ・なぜか急に不安になった自分 ・この人は“こうあるべき”と思った自分

そんな自分の反応に気づくたびに、 ほんの少し、その“自分という眼鏡”を 外すことができます。


その瞬間、関わり方は変わる

色眼鏡を完全に外すことは難しい。

でも、ちょっとでも意識的になることで、 関わり方は、確実に変わります。

あなたの中の「決めつけ」や「期待」が 少しゆるんだその先に、 本当にその人を聴こうとする “プレゼンス”が生まれるのです。


では、どう始めれば?

難しいことはしなくて大丈夫です。

今週、誰かと関わる前に 1分間だけ、目を閉じてみてください。

「今、自分の中で何が起きているだろう」 と、静かに問いかけてみてください。

それだけでも、あなたの“まなざし”は 少しやわらかく、少しひらいていくはずです。


高橋左

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